看護師が死にゆく患者さんと人間として出会うためには

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看護師が一人の人間として
患者さんの傍におり
人生の最期までを共に過ごす。

 

患者さんに心から
寄り添おうとする思いで
いる時に出てくる

 

 

あなただからこその言葉
あなただからこその笑顔
あなただからこその涙

 

 

それこそが患者さんの
胸に届くものだと思います。

 

 

 

 

心の底から
ありのままの自分として
出てくるものであれば
どんなものでも伝わらないものは
ないのです。

 

 

 

ですが、
看護師が一人の人間として
患者さんの傍にいることを
難しくさせているものがあります。

 

 

 

 

その一つに
看護師としての患者さんへの
「管理」意識が
あるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

その意識を
私が初めて自覚したのは
一般病棟から
別の病院の緩和ケア病棟に
移った時でした。

 

 

 

 

その病棟では
転倒のリスクが高い
患者さんのベッドの周りには
センサーを併用しつつも
ウレタンマットのようなものを敷いて

 

 

 

 

患者さんがいつ降りて転んでも
怪我をしないような
工夫がされていました。

 

 

 

 

 

それを見た時に
患者さんの自由を守る
その病棟の工夫や対応に

 

 

 

 

これまでいかに
患者さんへの管理の意識が
強かったかと感じました。

 

 

 

 

もちろん、この対応が
最も素晴らしいとは言いません。

 

 
ですがそれまでは
患者さんの転倒、転落などに
目を光らせ

 

 

 

 

転倒があると
カンファレンスで根を詰めて話し合い
いかに事故を防ぐかに
ピリピリするものがありました。

 

 

 

 

これはこれで必要なことです。
患者さんの安全を守れないことは
看護以前の問題になります。

 

 

 

 

私たちの不十分な対策で
転倒リスクのある患者さんが
やっぱり転倒した、となると
がっくり肩を落とします。

 

 

 

 

一般病棟、特に
治療が主体の病棟では
点滴やドレナージチューブなど
患者さんの治療には欠かせないものが
ある場合が多いので

 

 
どうしても事故が起きないように
しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

ですが、
このような意識が
どう患者さんに影響し

 

 
私たちが一人の人間としてではなく
看護師としての
仮面を通してでなければ
患者さんと接することを
できなくしているか。

 

 

 

 

以下は
小脳梗塞の治療期を脱し
リハビリ病棟へ入院されたある方の
原稿からの抜粋です。

 

 
『病棟ではリハビリが終わると
パジャマに着替える方針。

 

 

 

しかし、パジャマではなく
習慣であるトレーナーを着ていると
まだ着替えてないと
注意を促される。
着替えたと言っても信じてもらえない。

 

 

 

 

薬をもらっていないので
「まだもらってない」というと
隠していると思われ、
周囲を探し回られる。

 

 

 

 

一事が万事
「患者」が中心なのではなく
「管理」が中心という発想からなのだろう。

 

 

 

 

その状況下で、
私の言うことは全く信用されず、
疑ってかかられる時

 

 

 
ふと自分が何もできない
人間になってしまったのではないかという
錯覚を起こしてしまう』

 

 

 

 

看護師が患者さんを
管理する意識で関わる時
患者さんの主体性・人間性を
奪ってしまいます。

 

 

 

看護師ももちろん
患者さんの前では
一人の人間ではいられません。

 

 

 

その厚い壁は
患者さんとの距離を遠ざけます。

 

 

 

 

では
緩和ケア病棟やホスピスでなければ
患者さんの人間性に触れるような
患者さんの人間性を尊ぶような
看護はできないのでしょうか。

 

 

 

 

そんなことはないと思います。

 

 

 

前々回で書きましたように

”そこに”その人のために私がいる、
ということによって示される
専心の思いとなる時

 

 

 

 

管理だらけの病棟にいながらも
なにかできないか
何とかならないか
そんな風に思うはずです。

 

 
できないことも多い。
理解を得られないことも多い。

 

 

 

 

ですが、そのように思うことこそが
看護師でありながら
一人の人間として
関わっている証拠です。

 

 

 

そんなあなたであればこそ
もしもできないことへの
お詫びの言葉しか
なかったとしても

 

 

 

 

怒りを向ける患者さんや
傷つく患者さんが
いるでしょうか。

 

 

 

 

あなたが
この患者さんのために
と心から思い

 

 

 

日々の看護を主体的に
積み重ねていくこと自体が
看護師としてのあなたの
人間性の回復であり

 

 

患者さんと人として出会え
かけがえのない一人の人として

患者さんを見送ることができる
喜びになるのです。

 

 

 

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