自分の死を感じている患者さんへの看護の質を高めるためには

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自分の死を免れないと
塞ぎ込んでいるAさんを前に

 

私は内心うろたえ、
少し的外れなところで
苦しい思いをしていたわけですが

 

 

Aさんがどんな様子であっても
関わり続けようという気持ちは
ずっと持っていました。

 

 

 

苦しみの中におられる
患者さんが
言葉もないような時は
言葉のないまま
ただ傍にいる。

 

 

その大事さを
自分がしっかり認識して
関われたらどんなによかったかと
思います。

 

 

 

が、それでも
Aさんがどんな状況であろうと
関わり続けようと決め

 

 
試行錯誤を続けたのは
Aさんの支えには
なっていたはず

 

 
ということは
当時の自分に
言ってあげたいです。

 

 

 

試行錯誤の中身とは
例えば、
勤務の日には
始まりと終わりに挨拶に行き
何かしらの言葉を掛けること

 

 

 

また、Aさんが
廊下を通りかかった時には
声を掛けたり手を振ったり
視線を送るなど

 

 

 

本当にささいなことではありますが
常にAさんを気にしている
というサインを意図的に
送ることです。

 

 

 

こうした私の関わりに
Aさんがどのように思ったかは
尋ねていないのでわかりませんが

 

 

 
少なくとも、
死を受け入れることの
邪魔はしなかったのだと
結果的に思います。

 

 

 

ただ、ここでもう一度
自分の看護を振り返って
みたいと思います。

 

 

 

ホスピス・緩和ケア医の
柏木哲夫先生は
『死にゆく人々のケア』
という著書の中で

 

 

 

死にゆく患者に対して
スタッフがどのような態度で
接するかによって

 

 

 

「死への看護」の質が決まる、
と言っています。

 

 

 

その態度とは
①逃げの態度
②あきらめの態度
③受け入れる態度
④引き受ける態度
の4つです。

 

 

 

①は死にゆく患者との
接触を避けようとする
否定的な態度。

 

 
患者さんの訪室を避けたり、
同じような質問や不安を口にする
患者さんの会話を
さえぎってしまうような態度です。

 

 

 

②は死にゆく人に対して
消極的な態度。

 

 
スタッフだからやむを得ない
といった気持ちで
当たり障りなく接するような態度です。
会話も表面的なものに終始します。

 

 

 

③は①②より積極的な態度で、
死にゆく患者から逃げず諦めずに
付き合っていこうとする態度です。

 

 

 

不安や怒りなどといった
否定的なものであっても

 

 

そのような感情を
出せるように配慮したり
受け入れていく態度です。

 

 
患者が何も言わない時
傍に座り、
そっと手を握るというような
態度もそうです。

 

 

 

④は「受け入れ」よりも
さらに積極的な態度で、
一人ひとりの患者さんの
生きざまに学ぶ態度です。

 

 

死の不安や恐怖に
さらされながら生きている
その人の
生きざまに関心を持ち、

 

 

共に参加する
といったことが
「死への看護」の
本質ではないか、

と書かれています。

 

 

 

私の受け取りですが
④は、まさに
自分の身を投じるような
覚悟を持った態度だと思います。

 

 

 

終末期看護
緩和ケアなどに
関心のある看護師なら

 

 

 

試行錯誤と
看護の見直しを
繰り返しながらも

 

 
③の態度にいる方が
多いのではないかと思います。

 

 

 

私がAさんに向けた態度も
③の態度だったと思います。

 

 

 

それ自体は
患者さんを受け入れる
態度ではあるのですが

 

 
どこか
「これでいいのか」という思いや
手応えの不確かさを
感じることが
ままある態度だと思います。

 

 

それは、④よりは
患者さんから離れているところに
看護師がいるからだ
私は思います。

 

 

 

私自身
Aさんが自分の死を
免れることができないという
絶望の中にいる時

 

 

 

Aさんの苦しみに
共にいるというよりも

 

 
Aさんにうまく関われない
自分自身の苦しみを
感じていました。

 

 

 

ということはやはり
Aさんからは
かけ離れたところに
私はいたのです。

 

 
何も語らない患者さんには
不用意なことを言わず
ただ寄り添うことが大切

 

 

という思いで
傍にいても

 

 

 

形だけ傍にいるのと
患者さんの思いに
深く感じ入るように
傍にいるのとでは

やはり違うと思うのです。

 

 

 

不安や恐怖や絶望などの中で
生きているその人の
生きざまにに

共にいさせてもらうことが
できるようになるには

 

 

 

看護師として
さらに一歩も二歩も
患者さんに近づいていくという
壁を乗り越えなければ
ならないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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