関わる時間の長さと本当に理解することとの違いとは

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ホスピスで
患者さんやご家族と関われるのは
入院からお看取りまでの
数日~だいたい1、2週間が多く

 

ごく限られた時間だけのことが
ほとんどでした。

 

 

一方で
がん診療連携拠点病院での
経験が長かった私は

 

 

患者さんの診断前から
治療中、
そして最期を迎えるまでと

 

 

 

患者さんの一連の経過に
共にいることを多く経験してきました。

 

 

 

ケアに時間を掛けることが難しい
ケアの方向性をスタッフ間で
共有することが難しい、など

 

 

一般病棟ならではの
悩みもたくさん感じてきましたが

 

 

 

一人の患者さんの
診断前から
最期までを共にできることが
一般病棟で看護することの
醍醐味だと思っていました。

 

 

ただ年々
治療ができなくなった時期には
緩和ケア病棟のある病院や
在宅などに移行することが
多くなっていきましたが

 

 

 

それでもたくさんの
患者さんやご家族と

 

 

時には年単位に及ぶ
月日を重ねての
お付き合いがありました。

 

 

 

長期の関わりを持つからこその
嬉しい体験もたくさんありましたが

 
患者さんの理解や
支えがしっかりとできないままでいたことも
また多かったと思います。

 

 

 

一番よく思い出すのが
腹部のがんと診断された
ある男性患者さんのことです。

 

 

 

その方はとても明るく気さくで
病棟のスタッフからとても好かれる
患者さんでした。
関わりの難しさを全く感じない方でした。

 

 

 

難しい部位のがんで
手術ではなく抗がん剤の治療を
続けていました。

 

 

 

治療での入院や
その副作用での入院
と入退院が多かったのですが

 

 

 

その度にいつも
にこやかに笑顔を向けて下さり、
こちらが元気を頂くような
気持ちさえ持っていました。

 

 

 

ある日
看護研究で
手浴が及ぼす効果について
何人かの方に
ご協力をお願いしたことがありました。

 

 

 

その方は快諾して下さり
手浴前後で
バイタルサインなどの他に

 

 
気分に何か変化があるかを
海外の気分調査票を用いて
行いました。

 

 

 

海外のものだったからか
質問がやや突飛な印象を受けるもので

 

 
その調査票を使うこと自体、
あまり適切なものだったか
わからないのですが

 

 

 

気分の良さはいかがですか
気分の明るさはいかがですか
などのたくさんの項目がありました。

 

 

 

概ね、普通かそれ以下に
丸がついており
あぁそうだったのか、と思った矢先

 

 

 

私の目に飛び込んだのは
「孤独を感じますか」
という質問に

 

 

 

最高の数値
丸で囲んでいたことでした。

 

 

 

私はそれまで、ただ単に
表面的に見える様子でしか
この患者さんのことを
感じ取っていなかったんだと

 

 
初めて知るような思いと衝撃

 

 

 

そして
それまでの月日が長かっただけに
大変心が痛む思いがしました。

 

 

 

明るく見えている患者さんでも
心の中は

見えている様子とは全く違う。

 

 

 

そして
同じ病棟にいて
会話を交わしていても
孤独を感じている。

 

 

私はその方の
プライマリーナースとして
関係性を築いていたつもりでしたが

 

 
私の思い上がりだったことや
全く理解できていないことに
初めて気付かされたのでした。

 

 

患者さんと共にいる時間が
長いことは

 
信頼関係を築き、
支えていくための
大きなメリットです。

 

 

 

その積み重ねの中でしか
得られないものも
たくさんあります。

 

 

 

ですが、
患者さんを理解しようと
きちんと向き合わなければ

 

いくら時間を共にしていても
本当の意味で
患者さんを癒したり
支えたりすることは
できないのだと
気づかされたのでした。

 

 

 

 

 

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