がん終末期の患者さんのご家族から教えてもらった大切なこと

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これまでお看取りが近づいている方の
ご家族へのケアについて
大切に思うことを書いてきましたが

 

そのほとんどを
改めて教えて下さった方がいました。


今日はその事例を
少し設定を変更して
書かせてもらいたいと思います。

 

 

その方はご夫婦お二人暮らしの
ご主人です。

 

 

奥様がご病気で
体の動きがままならなくなり
自宅でご主人がお世話をしていました。

 

 
奥さんの体調も悪化し
ますますご主人の疲労が募る中
入院されました。

 

 

 

ホスピスに移ってからは
こちらで奥様のお世話を
丁寧にさせて頂くことをお約束しました。

 

 

 

病状が少しずつ進行していく中
しだいにご主人の表情に
固さを感じるようになり
私はある日
ご主人と二人で話す時間を取りました。

 

 

すると
看護師によってのケアの違いや
接し方の違いがあることや

 

 
これまで仕事を通して
自分が人に対して大切だと思って
やってきたことなどを
たくさん話して下さいました。

 

 

そのご主人は
毎日付き添う中で奥様に
ご自分できることを行っていました。

 

 
それは顔を拭くことや
食事の介助をすることなどですが
本当に丁寧にそれをされていたのです。

 

 

私のご主人への見えようを
お伝えすると

 

 
「誰だってそのようにしてもらったら
気持ちがいいでしょう」

 

そして
奥さんの食べるペースに合わせ、
主食やおかずを交互にまんべんなく
ゆっくりと介助することについて

 

 

「一気に食べさせられたら
誰だってキツいよね」

 

 

と、
全て奥さんの立場に立って
されていたことを
当然のようにお話しされたのです。

 

 

本当にもっともなことですが
私たちでも
時にそれらを忘れ、

 

 

自分たちの目線でのケア
すなわち
「これくらいだったらいいよね」

 

 

自分たちに都合のいいように捉え、
ケアを進めていたように思います。

 

 

そしてなおかつ

 

 

「自分には話し掛けてこなくてもいいから
妻に話し掛けたり、優しくしてほしい」

という旨のことをお話しされました。

 

 

ご主人にとって、
看護師が注ぐべきものは
付き添っている自分への
気遣いよりも

 

 

自力で身体を動かせず
反応もできなくなってきている妻へ

 

 

どれだけ細やかな気配りを注ぎ
丁寧にケアをしてくれるか。

それに尽きるというのです。

 

 

 

ご主人の切なる思いが胸に刺さり
私たちのケアや態度が
統一されていなかったことを
反省しました。

 

 

 

次なる課題はそれをいかに
スタッフ全員で共有するかです。

 

 

 

プライマリーナースだった私は
ご主人から聞いたことを紙面に起こし、
統一してほしいことを箇条書きしました。

 

 

 

その際には、ご主人の奥様への思いや
仕事をしてきた中で
大事にしてきた価値観なども
伝わるようにしました。

 

 

ケアを統一させないことには
せっかく話して下さったのに
信用をもらえません。

 

 

しかしそこは、
交代勤務をしている
看護師の難しいところでもあります。

 

 
二重三重にも工夫をし
目に留まるようにしたり

 

 

昼のカンファレンスや
月に1度のミーティングで伝えたり
勤務で担当する看護師に
直接話すようにしていきました。

 

 

行動を変えていくことや
細かなところまで統一していくことは
そう容易なことではありません。

 

 

 

スタッフから
「なぜ?どうして?」と
疑問や抵抗が起こることもあります。

 

 

ですが、そこは
プライマリーナースとしての
踏ん張りどころでもあります。

 

 
ご主人を代弁すべく
また、そのように仰る背景も
伝えていくことで

 

 

スタッフも統一して
関わっていくようになりました。

 

 

ご主人の言動の背景には
もちろん奥様を喪う
悲嘆があってのことです。

 

 
しかしながら、
看護師として
本当に大切にすべきことを
改めて教えて下さった方でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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