最期まで穏やかさを保つためにぜひ付けたい知識と力

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せん妄の患者さんの
ケアの大切さについて
もう少し書き加えたいと思いました。

 

せん妄は単独で出てくる
症状ではありません。
必ずその原因があります。

 

 

せん妄は脳の機能の低下によって
もたらされますが
その直接の原因として
がん患者さんの場合

 

 

 

脳転移や
臓器不全による代謝性のもの
電解質異常、薬剤性のものなど
いろいろあります。

 

 

改善ができるものと
できないものがあります。

 

 

その上に不快な身体症状、
環境の変化や
身体の制限がある状態、
などが加わると、
せん妄を引き起こしたり、
長引かせたりします。

 

 

ですから、
身体的苦痛を取ったり、
環境を整えたり、
心身にストレスがかからない状況に

できるだけしていくことが、
こちらでできるケアになります。

 

 

 

せん妄にも段階があります。

幻覚を見たり
興奮状態になる前には
兆候があります。

 

 

その兆候の時点で
キャッチし対応することが大切です。

 

忘れっぽくなる、
会話のまとまりがない、
やや落ち着きがなくなる、
などが早期によく出てくる兆候です。

 

 

ささいなことでの
ナースコールが増えてきたり
トイレに何度も行くようになる
といったことが
せん妄の兆候であることもあります。

 

 

また、
なぜか日中より夕方以降に
落ち着かなくなります。
昼夜逆転になり、
夜眠れなくなっていくのもそうです。

 

 

 

ですから、できれば
夜間にしっかり眠れるよう
睡眠剤を使用したり

 

 

 

夕方からの時間に合わせて
鎮静剤の内服時間を
調整したりします。

 

 

 

また、せん妄の中にいる時、
患者さんは自分の状態を
的確に
表現できないことも多いです。

 

 

ですので、こちらで
「落ち着かない感じですか?」
「頭がぼんやりしますか?」
などと尋ねていくと、
頷いて下さることがよくあります。

 

 

 

これらの段階から
対応をしていかなければ、
だんだんと幻覚や大きな興奮に
つながっていってしまいます。

 

 

一つせん妄が増強する手前で
落ち着いた事例を紹介しましょう。

 

 

 

Aさんは、80代の肺がんの方でしたが
症状のない期間を
ずっと過ごしていました。

 

 

ところが、ある頃から少し
言動につじつまが合わなくなりました。

 

 

がんの進行によって呼吸苦が増強し、
それによって
引き起こされたせん妄でした。

 

 

少量の薬剤(オピオイドと鎮静剤)で対応し、
落ち着いた数日後、
夜中に突然混乱を強めてしまいました。

 

 

身体の苦痛が
急速に増強したことが伺えました。

 

 

ところが、苦しいのか尋ねても
「何ともない」とはねのけるのです。
顔色、爪の色は悪いのにです。

 

 

Aさんは元々江戸っ子、
何ともないわけはなくても、
つい気性から
そのように言ってしまいます。

 

 

ですから、
Aさんのプライドを保てるような
言い回しでお話しし
まず身体の辛さを取る
レスキュー(屯用薬)を
飲んで頂きました。
するとその夜は、
落ち着いて眠れました。

 

 

翌日から、
辛さに合わせた量のオピオイドに調節し、
せん妄に対する薬も
状況に合わせた量としました。
その日からまたしばらくは
落ち着いた期間を過ごせました。

 

 

 

鎮静剤、睡眠剤だけでは、
一時的に寝ても
おそらく目覚めた時
さらに混乱を増していることでしょう。

 

 

 

そうなると
会話も成立し難くなり、
薬剤の拒否が顕著になるなど、
ますます悪循環になってしまいます。

 

がん患者さんは、
ほとんどの方が
お看取りが近づくと
せん妄も加わります。

 

 

終末期せん妄です。

 

 

身体の苦痛が増強したり
各臓器の機能が衰えるのですから
やむを得ないのです。

 

 

逆に言うと、
看取りが近づいていることを示す
サインでもあります。

 

ですから、

最期の時間を
苦痛と混乱の
痛ましいものにしないためにも、

 

 

各症状コントロール
せん妄のマネジメントは重要です。

 

 

このような最期を迎えてしまうことは、
患者さんはもちろんお辛いですが、

 

 

ご家族も大変お辛く、
心に傷が残ってしまいます。

 

 

そして、ナースも
後悔の思いや
無力感に苛まれてしまいます。

 

患者さんのため
ご家族のため
ナースとしての
自分自身のために

 

ぜひ
確かな知識実践力
身に付けていって下さいね。

 

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