相手に喜ばれることの喜び

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私の家に、キーボードがあります。
ほとんど弾くことはないのですが、
やっぱり今のところ手離せません。

 

以前勤めていたホスピスで、
音楽が大変好きな方の担当に
なったことがありました。

 

体調が悪かったせいもあるのか、
目もあまり合わせてもらえず、
ほとんど会話が続きませんでした。

 

 

音楽がお好きというので、
週に一度来る
音楽療法士さんとの時間は持ちましたが
他の日はつまらなそうにしているだけ。

 

 

音楽の話を聞いたり、
お好きな歌を一緒に歌ってみたり、
CDを流してみたり、

 

 

喜んでもらえそうなことを
いろいろ試してみましたが、
長くは続きませんでした。

 

 

思案の末、
私は昔ピアノを習っていたことがあったので、
試しにその方の前でピアノを弾いてみました。

 

 

20年以上振りで、惨憺たるものでした。
でも、生の音に、ことのほか
喜んで下さったのです。

 

 

これまでにない反応に、私も嬉しくなり、
職場にあるピアノで
練習しようかと思いました。

 

 

ですが、勤務中はもちろん練習できず、
勤務修了後はもうお休みされている方もいるため、
音が伝わると気になるかと思い

 

 

とうとう自分でキーボードを買って
自宅で練習しました。

 

 

弾ける音楽は小学生レベル止まりでしたが
それでも本当に、満面の笑顔で
喜んで下さいました。

 

 

その時間は一緒に手でリズムを取って
楽しんで下さいました。

 

 

ご家族が面会に来た時は一緒に、
楽しい時間を過ごしました。

 

 

私はそれまでも長年看護師をやってきて
喜ばれる機会は幾度となくあったのですが、
その時、改めて

 

人に喜ばれるってこんなに嬉しい
ものなんだ、と感じました。

 

 

それまで何をやっても、
つまらなそうにしていた方だったからこそ、
お愛想ではなく、心から
喜んで下さったことが感じられたのです。

 

 

そして、それはご本人が
本当に望んでいた時間だったからこそ
見られた笑顔だと感じました。

 

 

相手が望んでいることに
ようやくたどり着くことができた喜びは、
私にも格別の思いをもたらしました。

 

 

 

私の宝物のような
思い出の一つとなっています。

 

 

しかし、看護師がこのようにできる病院は、
ほとんどないと思います。

 

 

現場では、過酷な体制の中、
疲弊し続けている看護師が
大半だと思います。

 

 

そして、十分なケアや
相手が望んでいるであろうことができないことに、
もどかしい思いをしている看護師も
大勢いるはずです。

 

 

そこをしのぐのは
難しい部分も多いのは確かですが

 

 

そんな中でも、
少しでも患者さんに近づき
その方の人生に近づき
何を望んでいるのかだけでも
感じ取ってみて下さい。

 

私も
音楽がお好きというのはわかっても
どのように楽しむのが好きなのか
までに近づくのに
時間と工夫を重ねました。

 

 

相手の方にとって何が喜びとなるのか
相手の方にとって何が癒しとなるのか
近づけば近づくほどより鮮明に
わかってくるものがあります。

 

全てが実現できなくても
相手に近づく姿勢
できる工夫を重ねようとする姿勢は
きっと相手に届くと思います。

 

 

相手に注ぐエネルギーは
きっと何倍もの喜びで返ってきます。

 

 

患者さんに喜んでもらえ
看護師をやっていて良かった
と思えるような体験を
幾度となくしてほしいと
私は心から願っています。

 

 

 

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